学生ブログ

2020.11.23

番外編:全国の野菜イベント①「大根やぐら」

皆さん初めまして。今回番外編を担当させていただく大場です。

私はつくりもん祭りに関連して全国の野菜を使った変わったお祭りやイベントについて調べていました。今回はその結果をピックアップしてご紹介します!

まず、一口に「野菜を使った祭り」といっても幅広いもので、つくりもん祭りのように野菜でオブジェクトや神輿を作るもの、収穫された野菜の大きさや形の面白さを競うもの、盛大なパレードで収穫をお祝いするものなど、例年全国各地では様々な特色あるお祭り、イベントが開催されているようです。

今回の番外編ではその中からピックアップした、宮崎県の「大根やぐら」を紹介します。


☆夜になればライトアップも!宮崎冬の風物詩「大根やぐら」☆

宮崎県宮崎市の田野・清武町の名産品といえばたくあん。皆さん、たくあんができる工程って見たことあるでしょうか?

実はこの田野・清武域の大根たち、干される姿が独特で、地元の冬の風物詩になっているんです。その様子がこちら。

見ての通り、竹の骨組みで作られたやぐらにこれでもかというくらいびっしりと大根が吊るされています…!
その名も「大根やぐら」。その高さはなんと6mにもなるそうです。全長は50mのものから150mのものまであるとか。
こんなに巨大なやぐらを毎年、冬になると地域の農家さんが全て手作業で組み上げていくのです。


☆たくあんといえば田野町!漬物大根生産量日本一を誇るその理由とは☆

現在は田野・清武域に300以上もの大根やぐらが毎年出現します。なぜ宮崎市田野・清武域でこんなにも発展したのでしょうか。

秘密はその風土にありました。元々は鹿児島が発祥であり、昭和35年頃にある鹿児島県のたくあん業者が田野・清武域を干し大根栽培に適地として着目したのがきっかけでした。

その土壌は黒色火山灰で、黒ボクと赤ホヤという弱酸性の土成分を多く含む、漬物大根栽培に適した土壌であること、そして田野・清武域の特徴的気候であり、大根の乾燥に大きく貢献している「鰐塚(わにづか)おろし」が吹くことが大きな理由でした。この「鰐塚おろし」は冬になると鰐塚山から吹き下ろす北西の寒風で、これにさらされることによって大根はよく乾燥され、良質な干し大根となるのです。

田野・清武域はこれらに加えて、地形が高台であること、冬場でも雨が少ないこと、気温が大根を痛める氷点下にならないことといった、大根乾燥に適したいくつもの条件が見事合致しているのです。

また、こうした特徴的土地柄に合わせてやぐらの片側だけでなく両側に大根をかけるなど、鹿児島とは異なった手法になっているのも特徴です。


☆一家で一丸!大根やぐらができるまで☆

大根やぐらは毎年11月、一つ一つ農家さんと地域住民が力を合わせて手作業で組み立てられています。農家一家総出で一週間かけて竹でやぐらを組み立てます。

昭和35年当初は杉の木材を使用していましたが、最近では安価で
軽量な竹が主流になっているそうです。
長年培ってきた技を頼りに巨大なやぐらを完成させます。

乾燥の段階では、初日の朝は大根を掘り起こすところから始まり、昼になると組み立てたやぐらに干し、夜になると一晩中大根の世話をし、朝になればまた収穫した大根をかける、の繰り返しです。気温が氷点下近くになる夜や降雨の際は大根の身がスカスカになってしまうためブルーシートで覆って温め、氷点下を下回ってしまえば大根が凍ってしまうのでやぐらの中でストーブを焚いて温めたりと、朝から晩まで一日中気を抜けない作業なのです。

ひと昔前に比べると生産者もやぐらの数も減少はしたものの、大根やぐらに携わる田野・清武の営農者の年齢層は全国的にも若く、若手の担い手が多いのです。家族で営農することでそれが家族の時間の確保にも繋がるのだとか。


☆田野・清武の取り組み☆

田野・清武町では大根やぐらをもっと多くの人に知ってもらおうと、空港での大根やぐらの展示や大根やぐらのある農業風景の写真展示、干し大根をかける農業体験、など、さまざまな催しが開催されています。なんと大根やぐらのライトアップもあるみたいです!

暗闇に七色が綺麗に映えていて、見事なグラデーションになってい
ます。大根のライトアップって聞くと、なんだか興味深いですよね。一度本物を見てみたいものです。

それだけでなく、今年はグッドデザイン賞「地域コミュニティ部門
」を受賞し、更なる注目を集めています。


☆まとめ☆


今回は全国の数ある野菜イベントの中から大根やぐらをピックアッ
プしてご紹介しました。

60年以上も田野・清武で代々受け継がれている大根やぐら。大根
を干すという工程においてこれだけの時間と労力がかかっていること、また、地域住民や農家の方々の結束力の強さを感じました。

個人的に印象に残ったのはやぐらのライトアップです。大根のライ
トアップというユーモアな発想で、従来のやぐらとはまた一味違った魅力が生まれていますよね。
田野・清武のその風土を活かしたあのやぐらに干され、地元民が手塩にかけたたくあんを一度は食べてみたいです。


大根やぐらについてのリンクも載せていますので気になった方は是
非覗いてみてくださいね!

以上、番外編:宮崎田野・清武町の大根やぐらの紹介でした!

最後まで読んでくださってありがとうございました。

日本一の干し大根と大根やぐら - 宮崎市 (
city.miyazaki.miyazaki.jp)